前半「愛の秘薬〜」は明るく、ほのぼのしていました。知らないうちに父親になっていたヒーローの奮闘ぶりがおかしい!
そして、その後で読む「ビンテージ・ラブ!」…泣けました。著者は、傲慢だったり自信家だったりする男の、心の奥に潜む弱さをあぶりだすのがとても上手い作家さん。「ビンテージ〜」もそう。軽い気持で読んでいるうちに、ヒロインの胸のうちはもちろんのこと、ヒーローが自分を責めずにはいられない苦悩が痛いほどに迫ってきて、涙が止まらなくなります。ドラマティックと言うよりは友だち恋人のような感覚で別れた二人。ヒロインは本当は別れたくなかったけれど、ヒーローのあまりにもあっけらかんとした態度に、本心を告げることなく彼を送り出します。その直後に妊娠がわかり、彼にそれを伝えるものの、側にいて欲しいとはいえませんでした。遠く離れた国で暮らし、そのまま十年以上が過ぎ…。ヒロインが、初めて彼に娘を会わせなくてはならない理由がせつな過ぎました…。ひたひたと胸に迫ります。読む価値大です。