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[ 単行本 ]
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無趣味のすすめ
・村上龍
【幻冬舎】
発売日: 2009-03-26
参考価格: 1,260 円(税込)
販売価格: 1,260 円(税込)
Amazonポイント: 12 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 719円〜
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・村上龍
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カスタマー平均評価: 3.5
龍さんの世間へのつっこみにくすりとするための本 ゲーテという雑誌の連載をまとめたようです。
ゲーテという雑誌は読んだことがないのですが、仕事に全力投球する「ビジネスホリック」を読者層としているようです。
だからというわけではないのかもしれませんが、村上龍さんの主張も「趣味よりも仕事」という基本線に忠実です。
村上龍さんのことだから雑誌の趣旨に反して「仕事ばかりに夢中になる人生なんてくだらない」くらいのことを言って欲しいんだけど、まあ、村上龍さんも大人になったのでしょうか?無用な反抗はしないようです。というかもしかしたら「趣味よりも仕事」というのは村上龍さんの本音なのか?
マスコミに対して「そんなわけないだろ」とか突っ込みを入れることは皆様も多々あるかと思いますが、この本は村上龍さんの世間に対するちょっとしたつっこみを楽しむための本ですね。旺盛な批判精神と判断力を備えた皆様が「そうか。龍さんもそう思ってるんだね」ということでにやりとすることが出来る本です。
が、活字がでかくてページ数が少なくて本のサイズが小さいので読み応えがあるという種類の本ではありません。でも本を読む時間もなかなかとれない忙しい皆様にはこれくらいでちょうどいいのかも。
あと、「大転換期を生きる人の必携・箴言集。」という本の帯の言葉はちょっと違和感がありますね。村上龍さんもこれには苦笑しているに違いない。 気楽に読むにはいいけど、買うには高い。文庫出てからでOK これまで著書に興味を持ってなかったけど、カンブリア宮殿をみてから村上さん本人に注目するようになった。ゲストとの受け答えに面白さを感じたし、番組後記をネット上で読んで文章のキレを感じたから。本人が得意というだけあって、文章は確かに上手いと思う。
どんな着眼点や発想をもっているんだろう?村上さんにそんな興味を持っている人なら、この本を楽しめるだろう。読むことで、本人と対話できる楽しさを味わえる。
書店で本を開いた時、文字の大きさと分量の少なさ、そして目に飛び込んできた軽快な文章から、すぐに読書に入っていけそうな気楽さを感じた。手にとってすぐ入り込めるっていうのは魅力的だ。ただし1200円払って購入するには物足りない。少なすぎるし、部分的に考察が軽すぎる。簡潔でも筋が通っているものには説得力があるはずだ。そういう意味でこの本は完成していない。
本の価値と値段のバランスを考えた時、1200円は高すぎる。なので、すぐ読みたいという気持ち十分の方以外は、安価な文庫が出た時に買うか、図書館で借りて読むことをすすめたい。 村上氏独特の定義づけに基づく思考の格言集 小説家村上龍氏が、雑誌『ゲーテ』に連載していたコラムをまとめた一冊。
本書の中で、分からないことを分からないと潔く言う、プロゴルファーの青木功氏の逸話が取り上げられていたが、村上氏も「小説家としての右脳的な感覚で、経済や社会全体の流れは分かるが、具体的な経済・社会の分析手法は専門外なので分からない」というポジショニングを明確にすれば、より多くの人の共感を呼ぶのではないだろうか。
一方、個人的には村上氏の思考プロセスや実直な考え方のファンであり、「この人と仕事をしたら、恐らく楽だろう」と勝手に思っている。
それは、村上氏が常に決断や定義づけを行っているので、評価や思考に曖昧なところがなく、何が求められ、何が求められないかということがハッキリとしているからだ。
社会的に信頼できる居場所がないが、まだ見ぬ場所を捜しているような10代?20代の人にこそ薦めたい一冊。
? 本 文 引 用 ?
問題は、メモを取る行為そのものではなく、メモを取らなければいけないほど重要な情報に常に飢えているかどうかだ(087)
読書が重要なのではない。情報に飢えるということが重要なのだ(095)
最優先事項を把握している場合、決断には法則がある。もっともやっかいで、もっともむずかしく、もっとも面倒な選択肢が正解ということだ(184) 文字がでかくて読みやすい 文字がでかいので読みやすいです。 小文字ばかり読んでいると疲れるので、
あまたの出版物も文字を大きくして欲しいです。
で、内容ですが、共感できる点では「失敗」の件です
村上竜の文面のままではないのですが、オイラなりに解釈すると。
↓
ほとんどの人間が失敗してそのまま敗北者になるのであって、リベンジできるのはごく一部の人間だけ。
その違いは偶然性や排他性によって失敗したのであって、その行為者には多少の力量不足は否めないもののほとんど叱責に足る事象はなく、であるからこそ成功者としてリベンジできるのであると。
よって一般的失敗者たちは自らの絶対的力量不足を知らずに、垂れ流されるマスコミ(特にテレビ)の成功例に安寧を夢見るのである。
だからこそいつまでも失敗者のままで死んでいくのであると言わざるを得ない。
現実は厳しいってことですかね。
読んでもいいのではないか. 私は村上龍を名前だけでしか知らなかった.予備知識は全くのゼロである.本書を新聞広告でみて読む気になり,同時に「半島を出よ」上巻も注文した.二冊にすると配送料がかからないからそうしただけである.今はこの2冊で著者の大凡を知った.彼ははっきりものを言う人だ.「隠蔽されがちな事実を,正確に伝えたいと思っている」と書く著者の語り口は気に入ったが,そういう彼の視角は決して広くはない.狭いアングルで書くから,独りよがりというか一本調子となる.村上龍を知りたければ,この本だけで十分ではないか.ところで「無趣味のすすめ」と言うが,私は読書を趣味の一つにしている.資料と情報の蒐集のために本を読めば,それは実務であって趣味の領域からはずれる.文章を読むこと自体を目的とし,書き手の文芸を味わってこそ趣味である.読書の趣味は,音楽を聴くのと同じくらい私の心の状態に深く関わるから,それなしでは生きられない私の人生の一部なのだ.標題「無趣味のすすめ」は,著者の本を読むことを趣味にしている大勢のファンへの裏切りのように思われる.そこで著者に言いたい.あなた自身が無趣味でいるのは結構だが,世間にそれをすすめると墓穴を掘りますよと.
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[ 単行本 ]
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すべての男は消耗品である。 Vol.10 大不況とパンデミック
・村上 龍
【ベストセラーズ】
発売日: 2009-06-20
参考価格: 1,575 円(税込)
販売価格: 1,575 円(税込)
Amazonポイント: 15 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 955円〜
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・村上 龍
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カスタマー平均評価: 3
あきれてものも言えない 外国人のホームレスが少ない、もしくはまったくいないのは、彼らの互助精神が発揮されているからではない。日本人のホームレス社会が恐ろしく排他的で強固な共同体なので、外国人はホームレスになっても生きていけないからだ。日本的共同体は崩れるどころか、より排他的でより強固なものになってきている。細分化された分、見えにくくなっているだけだ。たちの悪さでは昔よりひどい。
TV番組のレギュラー司会者をやってて、よく大手既成メディアを批判できるものだ。自分もその一員なのだという自覚に欠けている。高いギャラをもらっていて能天気にもほどがある。この人には物事の本質を見抜く力が欠如している。マクロな視点というものが欠けている。
女性の両足首を切断しミキサーにかけてトイレに流し、歩行困難にして奴隷にするという小説をこの人は書いた。当の本人が今更、死体を切断してトイレに流した犯罪行為のニュースを糾弾している。子どもに悪影響を与えると言う。小説なら子どもが読まないので許されるという問題でもないだろう。とにかく矛盾の多いエッセイである。 全ての我々は消耗品である。だから自由だ。 グローバル化された経済システムは、金融不安を1929年とは比較にならない規模と速度で拡散させ、それとパラレルに、飛行機や大都市集住が、新型ウイルスを世界規模で急速に拡散させている。それとともに地球に生きている大変な数の人間が「同時に!」不安になっている。
私たち人類が自由に生きてきた歴史というのは、つまるところパンデミックを容易に引き起こしやすい世界を創り出してしまったということなのだろう。
しかし、それでも私たちは自由なのだ。
今起こっていることに不安になるのもそうでないのも、つまるところ私たちのささやかなつつましやかな自由が選択しうることなのだ。
考えて見れば村上龍氏のあらゆる著作は「その自由からはじめよう」というところで一本力強い芯が通っているかに思えてならない。
すべての男が、あるいは今回の書き下ろしでは、すべての女さえも、つまり「すべての人間が」消耗品になっている現在や未来があるであろうと村上龍氏は指摘している。
金融恐慌以降、世界はニュー・ディーラーばかりになり、オバマ大統領から派遣切りにあった若者まで「全ての人間は今、消耗品になっている。政府はなんとかするべきだ」と主張しているが、村上龍氏のスゴイところは「すべての人間は消耗品だ」に、「だから自由だ」とつなげてしまうところではないか。ここに彼の真骨頂がある。
今や「新自由主義」なんてものが悪の代名詞になり「自由」というワードの神通力が地に落ちたこの時代、国や政府や会社やなにか大きいものについ頼りたくなるような不安が世を覆っているこの時代に、「だけどわたしは自由だ。あなたも多分自由だ。そこからはじめよう」というメッセージを抱え続け発信し続けている村上龍氏は、ある意味で確かに、今日の、自由の希少な擁護者ともいえる位置にある。
名曲といわれた、初代のカップヌードルのCFソング
「ハッピーじゃないか」笠井紀美子、デューク・エイセス (作詞 阿久悠 作曲 小林亜星)の詞はこんなものだ。
> 常識ってやつと おさらばしたときに
> 自由という名の 切符が手に入る
> OH ハッピーじゃないか MY カップヌードル
> 古ぼけた頭には 曇りが来てるから
> 不自由という名の 眼鏡に困ってる
> OH ハッピーじゃないか MY カップヌードル
この歌詞に見られる、3分間でものが食べられる自由!ここから希望が湧いてくる! というような、「自由」と「希望」のリンクが自明であると信じる精神を、現代の人間はきれいさっぱり捨てているように見える。
村上龍氏はそのようなものを大事にかくまい育てて、希望の無いように見える未来に希望を見出す闘いのための、反転攻勢の武器にしようとしているのではないか?とも読める。
ドライな辛口の語り口の中に希望を信じる優しさと強さを隠して伝えようとする一冊。 相変わらず 龍さんは辛辣だ。
でも、そこが好き。
日本全体がゆっくりと衰退しているのは、事実だろうし、
しかし、既成のメディアは口がさけてもそんなことは、言わない。
麻生さん、最後に本音でハッキリ言ったらよいのに。
「日本は私が首相になってから、ゆっくりと衰退しはじめています」
「もう日本国民全員が高度成長期のように、全体の生活レベルがよくなることは、ありません」
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[ 文庫 ]
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半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)
・村上 龍
【幻冬舎】
発売日: 2007-08
参考価格: 760 円(税込)
販売価格: 760 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 142円〜
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・村上 龍
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カスタマー平均評価: 4
内容がない 突飛な着想で書かれています.ストーリーはまるでスペクタクル映画を見るように展開し,最後まで読者を引きつけます.登場人物も個性的です.上巻はそんな具合ですが,下巻まで買って結末を知ろうとまでは思いませんでした.私は結構忙しいし,他に考えたいこともありますので. 設定は抜群、でも構成が... 一言で言うと、物語の設定は、時代感覚によく合っていて、興味をそそる内容だけども、話の構成として難が多いといった感じの作品だった。
作者としては、多数の視点から物語を語り、深みをだそうとして新しい小説の構成に挑戦しているのかもしれないが、不必要な部分ばかりが詳細に書かれており、読んでも全然話が進まずイライラする本だった。
作者は、経済や軍事、政治などの多様な視点から物語を語ることで、リアリティを出そうとしているのかもしれないが、村上龍の語る経済は用語ばかりは経済っぽい用語が出てくるが、経済の因果関係に関する考察が稚拙で、よけいにリアリティが失われている感じがする。つまり、作者は物語の背景には、このような経済と政治の背景があって、それらがこんな感じで関係しているから、物語はこうなっているんだということを語りたいようなんだが、どうもうまくいっていない気がする。この点は、愛と幻想のファシズムでも同じだった。
リアリティという点では、物語の中で最も気になる部分であるテロリストの戦いに関して特に前半が曖昧で、かなり現実性に欠けている。それを、作者は奇跡と表現しているようだ。
そのくせ、特にストーリーとは関係のない武器などに関する解説は妙に詳細であり、無駄な気がする。文中で、軍隊オタクが揃えた武器に対して「趣味的だ」という場面があるが、文末に大量の引用リストがある作者の知識こそ趣味的でこの小説には不要のものと思える。
こういった難点がありながらも、展開が気になって途中でやめることのできない小説であり、これも単に物語の設定の良さかなと思う。 傑作。全く飽きさせない驚愕のリアルさ。下巻への興味は尽きない。 謎の国、北朝鮮を扱った作品であるため、その真偽は別としても、
圧倒的な情報量とリアルさに驚かされる。
北の反乱軍が福岡を武力制圧するという、一見荒唐無稽なストーリーが、
ディテール描写により肉付けされ、瞬く間に現実感を帯びながら、
読者の前に起立している。
このレビューは下巻の読後に書いているのだが、
上巻を読み終わった時点では、結末は何となく予想できたものの、
一体どんな過程で結末に持っていくのか、そのプロセスは見当がつかなかった。
長い、重い、読み難い、とのレビューがあるが、
活字に慣れていれば全くそんなことはない。普通の本。
乞う映画化。
特技が発する 一瞬の輝き 物語が小分けにされているので読みやすい。
平和ボケしているようなら読んでおいたほうが吉。
イザという時、パニックが軽減される。
それに、何かを犠牲にして
何かを守らなければならない状況になった時、
慌てずに済むかもしれない。
各章のタイトルはあえて見ないこと。
ドキドキが薄れてもったいない。
物語内の状況は、執筆時より現在の方が近くなっていて、
貧乏で捻くれて、危なっかしい日本が舞台。
様々な組織単位が出てくるが、
多くの資料や取材を積み重ねたのだろう、
物事は現実に沿って進んでいく。
物流の重要性、政治家や官僚の態度、死との遭遇・・・
対立という環境を通し、最優先事項を決定する大切さも提示される。
作品を通して、ビジネス面や普段の生活で取捨択一する時に
役に立ちそうな教訓も語られている。
平時でも緊急時でも、いつでも教訓は、
少ない情報、些細な兆候を見逃さない。
ということであり。
いつ、どのタイミングでリスクを取って、犠牲を出すのか思案することが
その後の命運を分けていく。
何かを選ぶコトと、何かを捨てるコトの差は同じかもしれないし、
そもそも、この"何か"が決まっているのかいないのか、
そのことが柱になってくる。 最上の出だし まだ上巻の途中までしか読んでいないが、最高の出だしだった。その点は「希望の国のエクソダス」と同様だと思った。北朝鮮は最悪である、という前提を持っている日本人は多いと思うのだが、本書を読むとイメージが変わる。そして北朝鮮のコマンド達と、今後一戦交えることになる日本人のチーム(マイノリティー)との戦い、という展開は面白すぎて、先を待たずにはいられない。村上龍さんにしか書くことができない小説であると思った。映画化のはなしは流れたのかもしれないが、実写版も個人的には見てみたかった。
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[ 大型本 ]
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13歳のハローワーク
・村上 龍
【幻冬舎】
発売日: 2003-12-02
参考価格: 2,730 円(税込)
販売価格: 2,730 円(税込)
Amazonポイント: 27 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 849円〜
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・村上 龍
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カスタマー平均評価: 3.5
子供にも大人にも 眺めていくうちに、自分の深層心理にある「好き」が見つかるかも。 考えが偏っている この本は、著者の偏った考えが書かれているように感じます。特に目に付いたのは自衛官の章です。「戦争をするための組織」、「イラク派遣」でなく、「イラク派兵」など、議論されている途中の事項に対して著者独自の見解がなされています。これらを13歳の子供に見せるのは問題だと思います。 高度な楽しみをするための大人向けのコレクション本 有識者となった立場の人間ががそうでない者に教授するときに覚える快感を擬似体感できる本。
各職種の解説(のような文章)を著者の(あのいつもの感じで)公平とは言いがたい視点で時に悲観的に紹介する。若い読者がこれを読んだことによりこの本を与えた大人が期待する効果を得ることがあるならば、その読者は既に、この本以外から同等の(正しい)知識を得る能力と見識を持っているだろう。
逆にそうでない読者にこれを与えたところで、文書と構成が難解なので、これがどんなに偏見に満ちた悪書であれ否であれ、挿絵を表題をパラパラめくったあとで部屋の隅に追いやられるだけだろう。
ということで、いわゆるタイトルから連想する実用性は実際は無いのだが、でも、それで良いのだ。これは、実は13歳が読むのではなく、これを買って与えたらきっと・・・・と、与えられたものが感銘を受けている様子を夢想して楽しむ部分に全ての価値があるのだから。 想像力の扉 まず、この本に対する様々な批判意見は、視野が狭いものが大半のように思える。
実際の職業にまつわる悲喜こもごもや詳細を知りたいのであれば、専門書を読めばいい。
タイトルで明示されているように、「13歳のハローワークは」は数多の職業への「見出し」だ。
村上龍の書く職業紹介は、媚びていないし、とてもそっけない。文章量も決して多くない。
そこがこの本のコンセプトに準じていると感じる。
一人の作者の書くものだから、書かれていない側面も沢山あるだろうし、先入観だってあるだろう。けれど別にいいのである。
要は読み手に想像力を喚起させれば勝ち、の本なのだ。
私は現在20歳で、数年前に親にこの本を贈られた。
はまのゆかの大づかみに空気感を捉えたイラスト、シンプルな装丁にシンプルな文言。断定調の職業紹介はまず読み物としてとても面白かったし、必要以上な楽観論や悲観論が無いのも良かった。
まだ見ぬ職業に就いている自分を想像しては暗澹たる気持ちになったり、大丈夫そうだと考えたりした。
このような本の場合、綿密な取材に基づかなくてもいいのだ。
見出しでしかないのだからwikipedia丸写しでもok。
そこに村上龍の頑固な思想と、はまのゆかの「間」を大切にしたイラストが付加されることで、想像力は翼を得る、そこから考えることが始まればいい。
値段も、安いもんでしょう。CD一枚買うのを我慢すれば良いのだから。
罪つくりな本・・・・ まさか13歳で、本物のハローワークへ
行くことはできないだろうが・・・・
実際にハローワークへ行って、
何か職業を検索してみるといい。
この本に載っている「格好いい」仕事
なんかほとんど検索できないに違いない。
村上龍氏の「見ている」現実は
ちゃんとこの本に反映されているのだろうか?
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[ 文庫 ]
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五分後の世界 (幻冬舎文庫)
・村上 龍
【幻冬舎】
発売日: 1997-04
参考価格: 560 円(税込)
販売価格: 560 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・村上 龍
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カスタマー平均評価: 4.5
サバイバル
「五分後」の世界にトリップした主人公が、旧日本軍の意志を継ぐテロリスト集団と行動をともにし、国連軍とバトルを繰り広げるという話。これだけ書くと何のこっちゃ、という感じだし、実際読後感も「それで終わり!?」って感じなんだけどね。
けど、「あとがき」で、村上龍は、これが自分の最高傑作だと言い切っている。本作は、だんだんセックスとか芸能とか、そういうものから離れてきた村上龍の画期をなす作品なのだと思う。セックス書くのは渡辺先生にまかせて、自分は世直しします、世の中に必要なのはサバイバル能力なんですよ、っていう主張をします、と。必ずしも心地よい主張でもないし、全面的に賛成するわけでもないが、この手の主張をする人があまりに少ないのが事実。その点で、村上龍的存在をぼくは高く買っている。
今読んでみると、みょうちくりんな舞台設定がされている本作より、『昭和歌謡大全集』や『半島を出よ』の方が戦闘に明け暮れる日常をリアリティをもって描ききっており、はるかに完成度は高いように思われる。つまり本作は習作のような位置づけなのだろうが、それにしても(今でも)十分に新機軸の刺激があり、読める一冊である。 面白い本には間違いないが・・・・・ かなりの期待高の先入観ありで読みました。期待し過ぎたのでしょうか。確かに面白いんですが何か物足りないんです(欲ばりすぎー)。私はSFが好きなのでもっとスゴイことになるのかなと思っていたのですがあれっもう終わりってな感じ、もうちょっと盛り上がってほしかった。でも十分に読む価値はあります。ヒュウガ・ウィルスが未読のままなのでそのうち読んでみようと思います。 古くなってる。 昔読んだのを最近になって再度読み返してみた。
以前はとても面白かった気がしていたが、文章からして頭に入ってこない。
文章が不自然に感じるのだ。
なぜだろう・・・多分表現が今の時代にあっていないように感じる。
古くなってしまったんだね。
この本は時の試練に負けそうであると思った。 この本を最初に読んだ時は今から10年近く前 その時は単純に、このストーリーの中の日本人がとてもカッコイイなって思った。
今また読み直して気がついたことがたくさんあった。
第二次世界大戦を降伏しなかった日本は、現在生き残ってる国民は26万人らしい。
その26万人の国民達は驚くほど優秀に描かれている。
今の日本の人口から計算すると、約2%位の人口の計算になる。
単純に今の人口から見て、2%の人間はかなり優秀な人達であることが分かる。
今成功している経営者、実業家などのような賢さと同じものを、このストーリーの日本人がいとも簡単にやっているから、たぶんそういう人たちが生き残った国民のモデルになってるだろうと、簡単に想像できる。
100人に1人が1億円以上の金融資産を持っているといわれる今、それを持っている人たちの集団って思えば、どれ位優秀なのかが分かる。
このストーリーの中で日本人は国民、純国民、非国民と振り分けられ、今起こっている格差社会を上手く表現していているなぁと思った。
混血児が多く出て来るが、それは近い将来もっと増えるであろう外国人労働者のように思える。
読んだあとは、もっと強く賢く生きないといけない!って言う思いになる。
間違いなく、自分はこの話の中で言う、非国民にあたる人種だから、無駄をなくし、もっとシンプルに考えて行動しないと!という気分にさせられる、やる気が出る本だと思う。
たぶん、この本を読んで批判的なことを言える人は、2%にあたる人たちだと思った。 これは。 村上龍の作品を読んでいるといつも、「俺」を感じる。
自分はどうあるべきなのかを自問させてくるし、その答えを常に与えてくるのが村上龍の小説だと思う。それが答えなのかは分からない。
ただただ、強く生きたいと思う。全滅の危機があれば、足でまといであれば、何の躊躇もなく殺してくれるような信頼できる仲間と。
腹が熱くなる
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[ 文庫 ]
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限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1)
・村上 龍
【講談社】
発売日: 1978-12
参考価格: 370 円(税込)
販売価格: 370 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・村上 龍
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カスタマー平均評価: 4
機会があれば映画もどうぞ 本を読んでから映画をみる、または映画を観てから原作を読む・・・・どちらもがっかりさせられることが多いのですが この作品はどちらもよいのです。三田村邦彦(すごくわかくてかっこいい)主演の映画は古臭さが無く楽しめます。原作知ってると魅力倍増★ 問題は映画が観られるかどうかなんですよね・・・・ 日本文学史上”最高傑作” 現代芸術を代表する作品のひとつだと思います。
歴史、政治、経済、文化、芸術、生活・・・に疎い人でも、
この小説を読めば、現在の日本、日本人の置かれている状況が把握できると思います。
特に若い人にお勧めです。
村上龍さんの、現代文学の代表傑作だと思います。 エグいが初期作品の強度は今でも有効 血みどろの暴力、乱交セックス、ロック、米軍基地etc...。ドアースの時代である。そのへんに昭和の味はあるものの、やはりひたすら強烈にエグい描写が続く初期・村上龍の作風は当時も今もワン・アンド・オンリーなものだ。若者のこういうノリは今はより一般化してしまってるのかもしれないが、世相が進んだからといってこの作品の持つ強度はそれ程失われていない。
ちなみに、作者あとがきによると、この表紙のデザインは作家本人によるもので、コラージュされている写真の横顔はは実在する「リリイ」らしい。作者の自己体験や青春時代への思いも込められたこの作品は、「不良」が文学上の売りになった最後のジェネレーションのものだと思う。いや、もっと後の世代もその時代の「不良」と青春を書けばよいと思うし実際書いてるんだけど、初期の村上龍を超える強度を持つ作家は出てきていない。単にそういう才能が今の時代は文学に向かわないだけなのかもしれないですね。事実上、「東大・慶應・早稲田」の寡占が続いていた良い子の日本文学史に終止符を打った記念碑的作品。 ただ起きている 哲学的な作品だと思う。描かれる世界は、ドラッグや乱交、バイオレンスといった退廃的な情景なのだが、〈僕〉はそれに意味付けをしない。その淡々としたトーンで、クライマックスがリアルに迫ってくる。世界認識の妙を、過激に静かに味わう作品。 今回の小説にあまり期待しないで下さい。最後まで特に何も起こりません この本を読んで思い出したのは、ガキの使いの村上ショージの教室企画です。
村上ショージが兵隊とか忍者とかに扮してガキのメンバーに延々レクチャーするという意味不明な企画で、毎回
「今回の企画にあまり期待しないで下さい。最後まで特に何も起こりません」
というテロップが入ります。
実際、本当に何も起こりません。特にギャグやボケをかますことも無く、ただ村上ショージがダラダラとレクチャーするだけです。
このダラダラしたやり取りが、恐ろしく好き嫌いを分けています。
僕は好きだけどね。
この小説もそれに似てますね。
良く言えば詩的。すごく美しいから。
悪く言えばつまらない。ストーリーがないから。
これが好きな人は「スワロウテイル」とかアートスクールとか好きなんだろうね。やっぱり。
僕はあまり好きじゃないけどね。
というわけで、物語にストーリーを求める人には、全然お勧めしません。
あとちょっとグロイけど、それは70年代のご愛嬌。
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[ 文庫 ]
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69 sixty nine (文春文庫)
・村上 龍
【文藝春秋】
発売日: 2007-08
参考価格: 480 円(税込)
販売価格: 480 円(税込)
( 在庫あり。 )
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・村上 龍
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カスタマー平均評価: 5
最高の高校時代! 69を読んでみた。
最高だった。
高校生にして、この行動力、だがその源は女の子にもてたい欲望、これは真理だ。
僕の高校生活も同じ思考だったと思う。今でもそうかもしれない。
こんな高校生活を遅れたら最高だろうな!
?というのは嘘で、っていう言い回しがたまらない。 楽しい小説 「こんなに楽しい小説を書くことはこの先もうないだろうと思いながら書いた」とあとがきで村上龍は書いている。確かに村上龍の作品の中では異質だ。私は「バカバカしい」小説だと思う。だが、この「バカバカしさ」こそが十代に限らず大人になってからも楽しい思い出を作るためには不可欠だ。
また、「楽しく生きるためにはエネルギーがいる」とも書いている。権力の手先である教師や刑事を殴ってもこっちが損するだけで、唯一の復讐方法は人生を楽しく生きることだと。
ただ、単純に私はこの本を読んで楽しくなった。理屈抜きの楽しさがこの小説にはあったからだ。 昭和は遠くなりにけり 学園闘争の鼓動を体感できる、男子高校生たちの笑える暴走がちな痛快青春白書。
青春のあるべき姿 村上龍の傑作青春小説。
非常にライトでポップな文体で、彼の作品の中では異彩を放っている作品でもある。
この小説の素晴らしさは、権力への抵抗も、バリケード封鎖も、全て「女にもてるため」だってことを包み隠さず、何の恥ずかしげもなく、主張しているところだ。
中高生の男子と言うのは、いつの時代においても、「権力」に抵抗する。
しかし、そこには崇高な理念や、思想はない。
心の奥底には、誰しもが「もてたい」「カッコいいと思われたい」と言う思いがある。
そういう意味で、この小説は「真の青春小説」なのだ。 買いです。 「限りなく透明に近いブルー」前夜、長崎での高校生活を描いた作品ですが、69年という時代を反映してバリケードなんかが出てきます。若い読者にはやや不可解かもしれませんが、60年代70年代の学園もので熱気を描こうとすれば、良かれ悪しかれこういったアイテムは不可欠ですもんね(作者がそれらを小道具で用いたといってるわけではありません)。長崎弁のためか、東京を舞台にした小説や回顧録とはまた違った、すこしピントがずれつつも、「おれたちだって!」という地方のエネルギーにあふれた青春群像に、思わずいとおしい気持ちにさせられました。
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[ 文庫 ]
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コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫)
・村上 龍
【講談社】
発売日: 1984-01
参考価格: 490 円(税込)
販売価格: 490 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・村上 龍
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カスタマー平均評価: 4.5
熱狂の世界 最初の方だけ読むと、「これは松本大洋の「鉄コン筋クリート」だ!」なんて思ったりします。兄弟にも似た二人の男の子、海、宗教といったキーワードがピタリとはまっているからです。「鉄コン」の方では、二人は成長せずにハッピーエンドを迎えますが、本作はさにあらず。ある時は華麗、ある時は醜悪、ある時は凶暴な世界に囲まれ、この二人、それにアネモネなどは激しい闘争をくりひろげます。
構成も実にメリハリがあると同時に用意周到。音楽、薬物、刑務所、航海技術などの取材もよくなされているようです。その上で、文章の熱狂というものを忘れない。本作の激しさは、石川淳の土壌に吉増剛造の文の花が咲いたというような感じがします。
こういう激越でグロテスクな表現には人の好きずきというものがあるでしょう。読みたくなければ読まなくてもいい。でも私は少なくとも面白いと思いました。もう30年近く前に発表されたのに古い感じがしないのは、作者の奮闘のせいか、作品に予言性があるからか、それとも今の日本が30年前と大して変わっていないからでしょうか。 ぐいぐいと読者を引っぱっていく上巻の圧倒的な迫力 20代の時に読んだ橋本治の「桃尻娘」(高校生編)と本作には衝撃をうけました。特に本作の上下巻を読み終えたあとの3日間ぐらいは熱にうかされたような気分になったことを今でも覚えています。
これでもかと読者を村上龍の小説世界に、まるで投げ込まれリアリティを持った小説世界から、一気に読ませてしまう力がありました。それは残念ながら上巻だけで、下巻からはその迫力が失われていきます。けれど、下巻のラストで、ハシが口にするセリフにはリアリティがありました。
蜷川幸雄がRCサクセションの単行本「愛し合ってるかい?」に記事が抜粋されていて、蜷川氏は、まだ20代後半のブレイク前のRCの清志郎にハシを演じさせたいとの言葉が掲載されていました。 好きな人は好きだろう これが好きという人の気持ちは何となく分かる。
浮かんでくる映像の彩度が高く、溢れ出すエネルギーとスピードを感じる。太陽のギラギラがまぶしい感じもする。
しかし、なんかくどい。とってつけたような、鼻につくような言い回し。MEは後期の村上龍作品は読んだことないけれど、なんか若い作品なのだなというのがヒシヒシと伝わって来て、その若さから力づくの勢いで書き上げた、という感じ。しかし、この長編、構成力、世界観、センスを感じないわけにはいかない。センス。 気持良い小説じゃないが、衝撃的な何かがある。
村上龍の代表作の一つ。
無差別殺人や若者が麻薬がらみで逮捕される事件が頻発すると、コインロッカー・ベイビーズを思い出す。
コインロッカー・ベイビーズは中学生の頃に図書室で読みトラウマ級の衝撃を受けた。
コインロッカーに産み落とされた主人公達は満たされない大人になった。
生誕にまつわる負のベクトルが心に穴をあけ、それは漠然と破壊の衝動へとつながっていく。
この世界の発する禍々しさを感じながら読んでみたら良いのでは。
二人はある意味、格差社会の申し子のような存在である。
今読み直しても「コインロッカー・ベイビーズ」はやっぱ強烈。
反面教師的に、「要は心の持ちようだ」と実感できる小説かもしれない。
退廃した社会という名のバイブル 当時社会問題になったコインロッカーベイビーをモチーフに、村上龍が放つ一大巨編。東京のコインロッカーに遺棄されながら奇跡的に生き延びたキクとハシは義兄弟として長崎で養親に育てられる。二人の見知らぬ母への愛憎と社会への嫌悪は増長し、やがて、ハシは上京して男娼に、それを追ったキクは棒高跳び選手になる。キクを歌手デビューさせ一儲けしようとするホモのレコード会社社長。鰐を愛でる謎の女アネモネ…。様々な影のある人物達の情念と咆哮が、孤独な都会で交差する、壮大な叙事詩となっている。 暗嘆とした世相から、これだけの屈折したスペクタクル群像劇をクリエイトし、巷間を大いに啓発した村上龍の才覚には、感服するしかない。村上龍といえば、あの余りにも鮮烈なデビュー作の「限りなく透明に近いブルー」が有名だが、村上作品を初めて読む方には、こちらの方が、普遍的かつドラマティックでよいのではないだろうか。この作品が若干二十代の若者によって書かれたというのは、到底奇跡としか言い様がない。W村上のデビューから三十年が経過する今なお、彼等を超える書き手が現れないのには、歯痒くもあるが、同時に誇らしい限りでもあるのだ。
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[ 文庫 ]
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希望の国のエクソダス (文春文庫)
・村上 龍
【文藝春秋】
発売日: 2002-05
参考価格: 700 円(税込)
販売価格: 700 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・村上 龍
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カスタマー平均評価: 3.5
バカな大人が中学生を焚きつけるために書いた空疎な本 アスナロってまるで、ポルポト派みたいだと思ったな。
カンボジアで殺戮を繰り広げたポルポト派の中心メンバーは、十代の少年少女たちだった。
彼らは親を親戚をそして教師たち大人を殺しまくった。
その結果が、今のカンボジアってわけ。これは行ってみたらすぐに理解できる。
ここに書かれている日本経済の近未来予測のほとんどは、ハズレている。
まあ、日本の中学生たちが、この本を真似ることがなかったってことは、そこまでバカじゃなかったってこでもあるわけで、私としては一安心だ。
中学生の設定から間違っている、ご都合主義の、どうしようもないクズ小説 近くの図書館の「リサイクル資料」の棚にこの本を見つけたので、(タダだし)読んでみました。
「希望の国のエクソダス」は、ダメダメ本だね。
三分の一ほど読んで、やめた。
中学生がまとまるという前提で書いているが、中学生がまとまるわけがない。
そこにもっと別の要素を、例えばSF的なモノを入れないと、最初から成立しない。
都合がよすぎる展開。
村上龍は、おそらくインターネットを知らない。
だからインターネットに幻想を抱いて、頭ででっち上げたのだろう。
中学生がネットでやることは、「学校裏サイトのイジメ」程度のものしかない。
もし有能な中学生がいたら、日本にとらわれる方がおかしい。
アメリカに行って、若くして大学に入り、大学院を出て、新しい世界的なビジネスを自分で始めるだろう。
基本的な考えが間違っている。
その考えに騙される人は、この本を好きになる?のかもしれない。
でも、もともとダメなイメージを元にしているので、わかっている人からは、捨てられる本なんだ。
僕は、「希望の国のエクソダス」はダメだ、と判断しました。
もっとはっきり言うと、途中まで読んで、都合のいい展開ばかりなので、面白くないどころか、腹が立って読めなくなったんだよ。
「僕らの七日間戦争」頭いいバージョン ある中学生が中東で民兵組織に入ったというニュースがきっかけで
日本中の中学生が反乱を起こし、ビジネスを立ち上げる
そういう有り得ないような事でも、経済の事を書いてあるんで現実感がある
でも何かちょっと、ありきたりなんだよなぁ
「5分後の世界」みたいなグネグネしたのを求めてたからかもしれませんが。
すごいと思ったのは、2000年に出た本(単行本)なのに
経済に関して予言かと思う位、この物語通りに今の世界が進んでいること。
『希望の国のエクソダス』取材ノートもあるようなんで、読んでみようかな
不景気 経済学の勉強勉強。 大学の授業より100倍まし。 ドラゴンはどこへ行く はっきり言って、まったく面白くなかった。
他の人も指摘しているとおり
「陳腐」「荒唐無稽」につきる内容。
80年代に傑作を連発していた著者が、よもやこんな超駄作を書くとは。
時の流れの残酷さに涙する事請け合いの一作。
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[ 文庫 ]
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イビサ (講談社文庫)
・村上 龍
【講談社】
発売日: 1995-04
参考価格: 520 円(税込)
販売価格: 520 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・村上 龍
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カスタマー平均評価: 5
止められぬ、魂の旋律 今まで読んできた村上龍作品の中でも珠玉の最高傑作と言っていい。これだけ退廃的で淫靡で、それでいて詩的で耽美な小説が、果たして他に存在し得るだろうか? 日本女性をアラブに売買する男に言い含められ、男の正体を知らずにパリへと旅立つ孤独な娼婦。だが、彼女はそこで自らの具現化した意思の存在に気付き、それによって危難を察して男のもとから逃亡する。様々な性的倒錯者と出逢い、別れながら、彼女の孤独な旅は続く。そして、小説の表題でもある「イビサ」へと最後に辿り着いた彼女を待っていたのは驚愕の現実だった…。 社会に虐げられながらも、それに復讐するかのようにひたすら自分を探し続ける娼婦が、「言語波」なるパワーや幽霊とのコミュニケートといった、形而上的なファクターを用いて、ドラスティックに物語られる。売春をしていた新宿の裏路地、華やかなパリ、官能美に満ちたカサブランカやマラケシュ…。この作品だけに限ったことではないのだが、村上龍の(特に海外の)街やそこの名も無き群像の描写には、そのルポルタージュのごときリアルさに小説であることを失念しそうにさえなる。 作中の登場人物達は、救いようもなく奔放で、無尽蔵な欲望に対してハイエナのように貪欲だが、それでも大車輪で道を突き進む。決して好感の持てる者逹ではない。むしろ、嫌悪すら抱く。だが、紛れもなく言葉をも越えたバイタリティーに溢れているのだ。 「トパーズ」同様、性表現は過激極まりないし、文体も乱雑だ。だが、この小説のソフィスティケートされた情景と神話的なスケールの前には、それらの欠陥はさしたる意味を成さない。この小説のテーマは「破滅」だが、その延長線上には希望が必ずあるはずだと私は確信する。 革命 自身の欠如を自覚し、全く異にするもので補う、それ自体は自覚しないことが既に、革命的な要素を含むことを、本書を読み、学んだ。 共同体の、前の、後の、共同性 地域 民族 宗教 国家などの閉じて固まった共同体ではなく、
未だ定まった形を持っていない共同性の物語。としても読める。 これぞ村上龍!! 破滅的ストーリーとありますが、なぜか悲惨な感じがしないです。
精神病院から見るキウイ畑や天文台、タンジールの崖のくだりがすごく好き。
あの文体がたまらない!ずっとこの世界にいたい!!
と思わせる一冊です。
結局、「恐怖とイメージと情報の関係」ということでしょうか。 「あとがき」で著者が書くようにまったくもってじつに“破滅的なストーリー”でした。主人公はある声に導かれるように破滅へと向かっていく。一読者として、つまり傍観者としてこれを読むとき、それは単に他人の破滅への道程でしかなくて、彼女はただただ自らの意志で自滅してくだけのように見える。しかしこの主人公は常に明るさを失わないし、いつだってしあわせそうだ。どんなピンチも自分の持てる能力を総動員して、恥も外聞もなしに、あらゆる人の助けを借りて軽々と切り抜けていく。そして物語も最後になって、主人公は傍目には(読者目線的には)完全に破滅し切っているにも関わらず、なんだかしあわせそうだ、というより、おそらく彼女はしあわせだ。真偽のほどはともかく、少なくともそのように描かれている。
終盤、マシンガンの連射のように書かれた数頁の中、智恵と恐怖とイマジネーションについて述べられた一節が、わたしの頭にこびりついて離れない。
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