藤沢文学は、私なりに解釈すれば、日本人の深い情感をあますところなく描いた、いわばウェットなものだと感じています。
したがってこの4篇のドライな感覚は読んでいて驚くと同時に、今までにない小気味良さというものまで感じてしまいます。しかし最後に読み手の心をぐっと、ぐぐっとひきつけるあたりは、さすがに藤沢周平ですね。
昔、ゲーリー・クーパー主演の名作西部劇「真昼の決闘」というのがありました。決闘の様子を非情に刻々と描き、見る人の心を緊張させたものでした。私見によれば、「麦屋町昼下り」は、藤沢版「真昼の決闘」です。推薦。 素晴らしい決闘シーン、藤沢文学の最高峰 いささか逆説めいていますが、この4篇の短編集は、藤沢文学にはあまり見られない特徴があります。それは「ドライな決闘場面」といえるものです。
昔、ゲーリー・クーパー主演の名作西部劇「真昼の決闘」というのがありました。決闘の様子を非情に刻々と描き、見る人の心を緊張させたものでした。私見によれば、「麦屋町昼下り」は、藤沢版「真昼の決闘」です。推薦。
けれどもじつはこれは眼目ではなかったのかもしれない。戦国時代時代に翻弄される藩を描いて、現代の会社を連想する人多いだろう。そういう翻弄する波の姿こそを描きたかったのかも。最後、草たちのそれぞれの運命が清清しい。