そんなことを改めて考えさせられる一冊。木のたたり、木の霊力、木に守られる、木をよけてつくられた道路、あるいは木にすむ蛇の話などなど。
この話の中で特に感銘をうけたのは北海道で国鉄時代、吹雪を避けるために一人の営林職員が生涯かけて木を植え続け、後輩たちがそれを守り抜いて鉄道林をつくりあげた話であった。(p175)
不思議なお話もさることながら、こんな心うたれる話もまた現代の民話なのだ。 生命あるもの神宿るもの言わぬ樹木・恐ろしげな蛇それぞれが魂を持つ。ある時は人を愛し守り、またある時は逆に怒り・呪い・祟る。生命を持つものには全て神が宿るのである。自然に触れる機会が少なくなり昔語りの消えつつある現代において、ある意味において重要なテキストとなる一冊となるのではないだろうか?また、所々様々な土地の言葉(方言)で語られているというのも話者から直接聞いているような温みを感じられそれがまた心地よい。子供に残したい本の一つとして大切にしたいと思う。