カスタマー平均評価: 5
読み応えのある作品です。 ファンタジー物というよりも、内面の描写が中心の、どちらかというと文学的な雰囲気のする作品である。 主人公が悩み苦しむさまが、丁寧に寄り添って、悪く言えばベタベタと描かれている。だからといって、オススメできない作品というわけでは全くない。 ただ、できれば1巻から順に読んだ方がいい。 主人公ドリッズトの心の変遷が、この作品のキモだと思うからである。 もちろん、これに続く物語『アイスウィンド・サーガ』(←発表順としてはこれの方が先)でも、ドリッズトの内面は描かれている。 しかし、『アイス・・・』は冒険譚的な面が強めなので、そちらにウェイトを置いて読み進めてしまうこともあるだろう。 まぁ逆に、ウェットな描写が苦手な人は『アイス・・・』の方から読んでみるといいのかもしれない。 例外的に、D&Dで遊んでいる人(特にマスターをしている人)には、ダークエルフのガイドとしても優秀なので、内面描写が苦手だろうと何だろうと一読しておくことをお勧めする。 我が家へ 一作目でメンゾベランザンを発ち、 二作目で<暗黒世界>を去ったドリッズト。 彼は安住の地を求め、とうとう地上世界へとやって来たのだ。 しかし、安住の地などそう易々と見つかる物ではない。 地上に出て初めて出会った人間達は、悲惨な最期を遂げる。 ドリッズトは全く悪くないのだが、彼の存在が引き起こした事件とも言えるので、彼はその罪の意識にさいなまれる。 ・・・とまぁ、最初の方は読んでいてかなり歯痒い思いをする。 実際、読んでいて地団太を踏みそうになった。 この後もドリッズトは追われ続け、心身ともにくたびれ果てた彼は、後に師と仰ぐことになる元レンジャーのモントリオと出会い、レンジャーになるための訓練をつみながら、心を癒す。 この後には別れがあり、そしてまた出会いがある。 時間軸では後になる『アイスウィンド・サーガ』をお読みの方ならお馴染みであろうキャッティ・ブリーやブルーノーも、勿論登場する。 そうしてようやく、若きドロウは我が家と呼べる場所を見つけるのだ。 『ダークエルフ物語』はこれにておしまいであるが、ドリッズトが活躍する書籍は前出の『アイスウィンド・サーガ』の他にも続々と刊行されているそうなので、この話がお好きな方は是非。 かくいう私も弱輩者の上に寡聞にして、未だに『アイスウィンド・サーガ』も読んでいない。 『アイスウィンド・サーガ』は人気のある作品だ。 しかし何故か絶版されているので手に入れるのが非常に困難なのだが(定価の何倍もする価格でオークションに出品されている)、ちょうど今年の夏に復刊されるそうなので、発売日を楽しみにしている。 そして安住の地へ。 このシリーズは、ファンタジーの姿を借りた哲学書だと思っている。
最終刊を読み終えて、思わず涙してしまった。
主人公ドリッズトの、痛々しいまでの悩み方には辟易することもあったが、
何よりその純粋さが、わたしを捉えて離さなかったのだ。
彼を育てた三人の師たちもまた素晴らしかった。
彼らとの出会いがドリッズトを成長させ、精神的にも強くしたのだ。
この本のもととなったR・P・Gは知らないが、そんなことはまったく気にならずに読めた。
それよりも、ドリッズトのその後が気になっている。
重厚な読み応えのあるファンタジーは、まだまだ続いているらしい。 読むとやめられない 挿絵がいまいちチープだなと思いながら、又値段が比較的高いかなあと思いながらもつい買ってしまった。しかし読み始めるとやめられなく、ついに三巻まで買ってしまった。あまりメジャーじゃないがお薦めの一冊。
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