カスタマー平均評価: 2.5
これが銀行というものなのか? 本当に銀行がこんな権力闘争と面子の張り合いばかりやっているのだとすれば,まさにつぶれて結構。顧客のことを考えているところなど1行もでてこない。主人公は情報を右から左に流すだけ。上司の面子を考えてヨイショしたり,友人からもらった情報をしゃべるなといわれつつぺらぺらしゃべったり,他人の不倫の後始末でゴルフセットもらったり,ほんとにもうこんな人間が優秀だといわれるのなら,働くのがばかばかしくなるね。 アクの強い人のあくどさを書くならまあ面白いのだが,この小説は,アクの強い元頭取はさっさと辞めるし,新頭取は感情的でろくに自分というものを持っていないので少し力不足。主人公の広報部長はアクが強いどころかすべて人ごとのようなところがあって,淡泊すぎ,魅力がない。 まあ,タイトル通りの内容といえばその通りだ。 いまいち 金融腐食列島はすべて呼んでいますが、徐々に面白くなくなってくるような感じがします。 特に主人公の不倫相手との描写の場面は必要がないし、違和感をかなり感じました。 高杉良の近頃の小説には最後のほうによく会話形式で現在の政府等の批判を書きますがくどすぎる。 ここまできたら主人公が頭取まで行ってほしい気にもなりましたが、ほとんど漫画の世界になってしまいますね。 つまんない 主人公が級友のつてのみで仕事をしている。それで、なぜだか周りからは優秀だと言われ、不倫相手には食事とセックスをしまくってしまうというストーリー。この話を通じてわかることは、著者が外資を単なるハゲタカと、某大臣をその手先と、銀行の首脳陣を名声欲にかられた凡人としかみていないこと、そしてそれを冷ややかに批判し、自分の意見を持たない評論家を是とするということです。最後まで読むには根気がいります。ひとことで言えば、某地方スポーツ新聞のようなペラペラな内容。 久しぶりに読むのを途中で投げ出してしまった… 下巻は読んでいません。上巻は何度も「時間がもったいないから、読むのをやめよう」と思いながら、読み続けました。一言で言えば、出来の悪い「部長 島耕作 バンカー編」を読まされているようだった。 評価が低い原因は、まったく共感できない主人公だからだ。上司らと権力闘争を繰り広げて成果を勝ち取るのではなく、級友の人脈を使って楽に仕事をする姿勢。自分の銀行が合併をしようと模索しているのも関わらず、どこか人ごとのような態度を取る。 そして、何かというと大学卒業したばかりの部下と不倫をした結果、愛人を退社に追い込み、ロンドン留学までさせても何ら意に介さない甲斐性なし。それにも関わらず、正月盆暮れは、帰国した愛人と逢瀬を楽しむことに汲々とする低脳ぶり(しかも、複数の他行が巨大合併をしている時なのに、考えているのはセックスのことばかり…)。「お前、本当に役職付の人間なのか?」と声を出してつっこみたい。 おそらく感情移入を難しくしているのは、主人公の無能ぶりの他に、台詞の陳腐なことだ。何度も「こんな喋り方する女、絶対いねえよ」とつっこんでしまった。しかも、ホテルの部屋で食事とセックスだけしかしない主人公を好きでいてくれる都合のいい女が、いったいどこにいるんだ? 著者の性的な妄想を、お金を払って読ませられる読者にしてみたら、腹が立つ。 スポーツ紙で同作品は連載されていたから、読者層に合わせて書かれたと言われれば、それまでかもしれない。しかし、登場人物の台詞まわしと主人公と愛人の睦言は、(男の自分からでも)生理的な嫌悪感を覚えるほど気持ちが悪い。しかも、愛人は本筋とはまったく絡まず、主人公のストレスと性欲の捌け口として扱われるだけ。 権力闘争で繰り広げられる人間の業の深さが楽しめる経済小説を探している人は、別の著者の本を探した方がよい。 面白いが空虚 これは、高杉良の金融再編成を扱った第2幕目の本。S銀行と思しき銀行を中心にUグループ(?)の再編劇をモデルに描かれていて、虚実皮膜と言うか、何処までが真実で何処までがフィクションなのか分からないような展開が面白い。先行したメガバンクの編成競争に遅れをとった弱者連合の虚虚実実の駆け引きと編成への経営トップの動向等が、高杉流に緻密に描かれてはいる。 しかし、何故、世界金融戦争に苦杯を舐め、日本の金融界が前代未聞の危機に瀕して多くの銀行が跡形も無く消えて行ったのか、その苦悶と現実感が、この小説には、全く現れて来ないし感じられない。何故、金融再編成が必須なのかと言う厳粛な現実もなく、そして、再編成への銀行トップの高邁なビジョンもシナリオも、経営者としての哲学も描かれずに、愚昧と言うべき都市銀行の合従連衡の駆け引きと編成への推移だけが白々しく、延々と展開されているだけである。 これが現実だと言うのなら何をか況やであるが、しかし、これが、経済小説と言うものであろうか。 実際に読んでいて、今日のような日本のメガバンク成立の動向や金融再編成を扱った評論や、経営学や経済学のような専門書のドキュメンタリー・タッチの本の方が、遥かに面白く感じるのは何故であろうか。
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