そういった意味では小説という切り口だけでなくファイナンシャルプランナーを目指す方にも参考になる本ですね!
ファイナンシャルプランナーの仕事がどんなものかを理解できたのですが、最終的には自分の人生設計にあった金融商品を考えるだけでなく人間としての大切にしなければいけない感情部分までをとらえて生き方も考えさせられます。この小説の中での人間模様には涙なしには読めませんよ! ぜひドラマ化を今、話題のファイナンシャルプランナーが主人公ということで、興味を持ちました。読みやすい内容で、一気に読めます。読後感爽やかな明るい小説です。シリーズものにもなりそうですし、ドラマ化にもぴったりの内容だと思います。次回作にも期待しています。
しかし本書を読む限り、小説としてはまずTQCを批判するという大命題が先にたち、それに沿うかたちでTQCを推進するキャラクター達が子供向けの漫画や童話にでてくるような矮小化された人間達となっています。
見方を変えれば、逆にそういった矮小化されたキャラクターたちをもって、TQCを貶めなければTQCを批判できないというのは、著者がもつTQC批判の根拠が論理的なものではないということではないでしょうか?また、そういったキャラクターのために、単なる小説としての質もかなり劣るものと思います。
著者の「日本的経営の興亡」という本も読みましたが、感情的な批判や著者の都合のいいエピソードのつまみぐいばかりで、論理的な批判とは思えませんでした。 タイトルが相応しくないこのタイトルからデミング賞をとるためのTQCの方法論が小説の主題になっていると思い読んでみた。しかしながら、内容はアサヒ自動車という架空会社を舞台にしてTQCという全体主義に抵抗して改革活動を続けるサラリーマン達の生き様を描いたもので、期待した内容とは違っていた。TQCに批判的なスタンスで描かれているのは別に構わないが、内容は「サラリーマンの根性と悲哀」という方が相応しい。筆者は日本社会で滅私奉公型会社人間を作ったのはTQCである、と語っているが欧米でもTQCは行われていたわけではたしてそう言い切れるのか。この結論を言うために少々偏ったストーリーになっているのではないか、と勘ぐりたくなってしまった。 もう少し焦点が描けていたら企業内の権力闘争にTQCが利用され本来の目的と違ったTQCの使われ方をテーマにしてるが、果たして著者は何を言いたかったのかが明確に伝わってこなかった。小説としてであれば、グット引きこまれる点に欠けているし、TQCを批判したいのであれば、その点の理論展開にも物足りないし、何を言いたいの!という印象が残った。実際の現場を取材して書かれている訳だがメーカー勤務でない私にとっては、「こんなことが実際にあったの?」という程度の印象であった。著者が考える問題とそれに対する解答を鋭く書いて欲しかった。